たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~
惟の言葉に、亜紀はそう呟くことしかできない。何しろ、彼女にすれば結婚も婚約も現実からかけ離れている言葉。たしかに恋に恋するお年頃であることも間違いない。
そして、今は離れているが幼なじみの由紀子とは『素敵な王子様がいればいいよね』と話していたのも事実。そんな彼女を今、抱きしめている相手。
親戚であり、婚約者だと紹介された惟はどうみてもイケメンに分類される。こんな相手から甘い言葉を囁かれて気持ちがぐらつかない方がおかしい。いや、普通ならば間違いなく舞い上がり、幸せな気持ちになっているだろう。
それでも、今の亜紀は彼の言葉に素直に頷くことができない。おそらく、『結婚は契約』と言われたことがその大きな原因なのだろう。だが、そんなことを彼女は気がついていない。そして、今の彼女の脳裏には、かつての光景がはっきりと浮かび上がっている。
あの時も今と同じようにしっかりと抱きしめられていた。夢の中の記憶しかないが、それに違いないという確信が今の亜紀にはある。そして、その時に感じたのは本当に温かい気持ち。きっと、あの時の相手なら今の惟のようなことは言わないだろう。そう思う亜紀の口から、ポロリと言葉が漏れてくる。
「私……あの人に、会いたい……」
その声は微かな風にもかき消されるくらい小さなもの。それでも、惟の耳はその声音を拾い上げたのだろう。ちょっと首を傾げると、亜紀の耳元で囁きかけてくる。
「どうかしたの? 僕の腕の中にいるのに、亜紀ちゃんは別の相手のこと考えてるの? それって、嫉妬しちゃうよ」
そして、今は離れているが幼なじみの由紀子とは『素敵な王子様がいればいいよね』と話していたのも事実。そんな彼女を今、抱きしめている相手。
親戚であり、婚約者だと紹介された惟はどうみてもイケメンに分類される。こんな相手から甘い言葉を囁かれて気持ちがぐらつかない方がおかしい。いや、普通ならば間違いなく舞い上がり、幸せな気持ちになっているだろう。
それでも、今の亜紀は彼の言葉に素直に頷くことができない。おそらく、『結婚は契約』と言われたことがその大きな原因なのだろう。だが、そんなことを彼女は気がついていない。そして、今の彼女の脳裏には、かつての光景がはっきりと浮かび上がっている。
あの時も今と同じようにしっかりと抱きしめられていた。夢の中の記憶しかないが、それに違いないという確信が今の亜紀にはある。そして、その時に感じたのは本当に温かい気持ち。きっと、あの時の相手なら今の惟のようなことは言わないだろう。そう思う亜紀の口から、ポロリと言葉が漏れてくる。
「私……あの人に、会いたい……」
その声は微かな風にもかき消されるくらい小さなもの。それでも、惟の耳はその声音を拾い上げたのだろう。ちょっと首を傾げると、亜紀の耳元で囁きかけてくる。
「どうかしたの? 僕の腕の中にいるのに、亜紀ちゃんは別の相手のこと考えてるの? それって、嫉妬しちゃうよ」