御劔 光の風3
カルサが封印されてしまったことで少し触れた御劔の中身は本来なら一生触れない部分なのだろう。

関わって、いざ動いてみるとこんなにも身近なところと繋がっている。

きれいな話だけではないのだろうが、それでも世界はこんなにも関わりあっていたのだ。

そして、おそらく中心に近い人物としてカルサがいる。

マチェリラも長も、そこに触れて関わっているということだ。

「すぐにそこから離れ戻って来なさい。皆で永を探せばいい。」

早急に判断するよう出された提案はむしろ命令に近かった。

戻りたくても戻れなかったこの場所に着いた時にはきっと今までいた国の楽しい思い出話をするのだろうと思っていた。

だがその思いが儚く砕け散った瞬間でもある今、貴未は何を決断すべきか迷ってしまっている。

「…何がどうなってるんだ?」

色んな出来事が一度に起こって混乱している頭の中を整理するように貴未は呟いた。

頭が痛い訳でもないのに額に手をあてて支えるようにその瞳を彷徨わせる。

目で探しても答えは見つからない、そんなことは分かっていた。

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