御劔 光の風3
ここまで続けて言うと長は貴未の顔を注意深く観察した。

理解している、そういう思いを込めて貴未が頷くと長は再び口を開いて言葉を続けた。

「世界とは国単位ではないその空間を示す言葉。そして扉の数だけある世界、それら全てを束ねる人物が治める者と言われている。勿論、治めるからにはその者が存在する場所が必要になってくる訳だが…そこもまたカリオと同じ様に特殊な空間に属した国だ。」

その言葉を聞いて貴未は少し目を細めた。

何か気になることがあるのだと察し、長は視線で声にするように貴未に求める。

「空間同士は交わらないのなら…特殊というのはどういうことですか?」

「時間、空気、様々あるが一番の違いは役割だ。」

「役割。」

長は一度視線を下に落とすと、自分の中で考える時間を求めるように辺りを見回し始めた。

空や山や草、そして歯車や巨大な振り子時計などずっと見慣れていた景色をその目に映して答えを探す。

「世界を治める者がいる場所は当然のことながら中心世界としての役割を持っていた。その世界自身を神と称し、統治する者を王、そしてその王と同様に中心世界に住み均衡を保つ役割を果たす者たちを神官と呼んだ。我がカリオからも神官を送り出している。」

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