凪とスウェル
ショックだった。


俺のせいで、一人の女性の人生を変えてしまった。


右京のご両親が全て補償すると言ってくれたけれど。


お金だけの問題じゃないと思った。


自分の両親があてにならない今。


俺が全部背負うしかないと、その時に覚悟を決めた。


その日から俺、学校にも行かず、毎日病院に通った。


千春さんのご両親は仕事で忙しいし。


夕方、千春さんのお母さんが来るまでの時間。


身の回りの世話などは、全部俺が引き受けることにしたんだ。


受験も控えていたけど、大学へ行くということは、義父の世話になるということだし。


受ける意味はないと思い、受験はしなかった。


最初の頃、千春さんは俺に心を閉ざしていたけど。


少しずつ話してくれるようになって。


それだけが、俺の救いだった。


そんなことを続けていた、ある日のこと。


病院から帰って、自分の部屋に居た時に。


俺の携帯が鳴ったんだ。
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