やくたたずの恋
 恭平の口調には、冬の海のような力強さがあった。静かな波の下にある、恐ろしく冷たい心と、激しい感情の流れ。それが、彼のやさぐれた雰囲気を際立たせていた。
「昨日も言っただろ? 女なら、人生もボディも山あり谷ありじゃないとな。お嬢さんの薄っぺらい人生経験と平らな胸には、俺は一つも興味がわかない」
「じゃあ……どうすれば……」
 どうすれば、この人と結婚できるのだろう?
 どうすれば、私は「役立たず」ではなくなるのだろう?
 言葉にならない思いを、雛子は熱い吐息に混じらせて吐いてみるが、答えは出てこない。
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