@からはじまる。
「はい、ふみね。」
ヘルメットを渡された。
「ありがとうございます。」
久々に被るな。廉とケンカをするまでは、よく後ろに乗せてもらった。
「まさか、初めてとかじゃないよね?乗るの。」
「久しぶりです。廉の後ろに乗せて貰ってましたから。」
「だよねー」
クスクスと笑いながらいう。
「なんか、おかしいですか?」
「いや、廉も大変なんだろうなーって、バイク一人で乗れないでしょ」
なんで、わかったんだ。確かに、廉の後ろに乗るときは抱き上げて貰っていた。
身長が足りないから、いや、足が短いから。
乗ろうとしても乗れないのだ。
「ほら」
両手を広げてきた。
「なんですか?それ」
「今日は、俺が抱き上げてやる」
お腹の当たりに腕を回されてバイクに乗せてもらった。
「あ、ありがとうございます」
「いえいえ。なら、行きますか」
バイクを走らせた。
プルプル プルプル プルプル
私の鞄の中で廉からの着信があったのは、もちろん知らない。
「バカ文音。電話にでろよ。」