HONEYTRAP(番外編)~お見合い結婚のススメ~
浅見さんは私の様子に慌てて、車を道路の舗道脇に停車させた。



「大丈夫か?」



「大丈夫です…」



「驚かせてすまない…」



浅見さんの切れ長の瞳が、申し訳なさそうな色に染まる。




「わ、私がいけないだけで…」



「ジーッと見つめられていると…何だか恥かしくて…」



浅見さんはパワーウィンドーを開けてジッポを擦って煙草を吸い始める。




「…あ…煙草嫌いだった?」




「いいえ、別に…お好きなだけ吸って下さい」



私は膝に両手でギュッとスカートの裾を握り締めて、緊張感と格闘していた。



私は浅見さんの煙草を吸う姿が一番スキだったりする。



「これ、緑川さんがくれたジッポだ…」



浅見さんは私にジッポを見せる。


< 57 / 86 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop