世界一幸せな国Ⅰ
男A「いやいや、我々はパーティーの招待客ではないんですよ。すみません。それより、ボールドウィン・ローナ様、ユアン様。本日は、お誕生日おめでとうございます」
3人は、頭を下げた。
それはもう、ぎこちなく。
おそらく彼らは、自らを貴族に見せられていると思っているだろう。
だが、その格好は見よう見まねだったのか、統一性のない不思議なものだったし、礼儀作法もなっていない。
これは、誰が見ても貴族ではないと分かるくらいの姿だった。
「「ありがとうございます」」
ふたりで頭を下げた。
──そのとき、男たちの影が動いたのを私たちは見逃さなかった。
……なんだ、何をする気だ。
私たちの背後にいることはわかっていた。
しかし、何をするのか想像がつかなかった。
(ユアン!頭を上げてすぐに大きく左に避けろ!私は右に避ける!気を緩めるんじゃねーぞ!!)
彼になら伝わるだろうとすることを簡潔に伝えた。