世界一幸せな国Ⅰ
バ「ローナ、ユアン!!どうしたの、大丈夫?!……とにかく医務室へ……!」
私はお母様、ユアンはお父様、お兄様たちは使用人に抱かれ、みんなで医務室へと向かう。
「……お母様、いいよ。多分、もうすぐだから。あのね、謝らなきゃいけないことがあるの。……植物園の花がめちゃくちゃになっちゃった。大切な花なのに、ごめんなさい。あとね、今、回ってる毒のこと話すから、ユアンは救ってあげて。拳銃の弾丸に毒が塗ってあったか、中に入っていたか、どっちかはわからない。でもその拳銃によって体に入ったことは間違いない。掠めただけだから、弾は貫通してる。顔以外の全身麻痺だから、多分心臓ももうすぐ……」
言い忘れたことがないか、必死に考えながら話す。
バ「……何を言ってるの。あなたはまだ生きなきゃいけないのよ?私たち家族は7人!それ以下なんてあり得ないじゃない!!馬鹿なこと言わないで黙ってなさい!!……お願い、馬鹿なこと……言わないで」
「お母様、短い、5年という間だったけど毎日本当に楽しかった。温かい家庭を作ってくれて、ありがとう。私たちを産んでくれて、ありがとう。今までありがとう。……愛してる」
バ「……お願い……!お願いだから……!!」
お母様の顔から落ちた涙が、私の頬を濡らす。
何か、返事をしなきゃ。
そう思ったが、もう話すことはできなかった。
「……ふっ」
お母様と目を合わせ、お互いに泣きながら私は笑った。
そして、そのまま私の意識はなくなった。