世界一幸せな国Ⅰ


お父様の提案で、風に当たるために外へと出た。


まだ冬なので、空気は冷たく、肌はチクチクする。


頭を冷やすとはこういうことなのだろうか、冷静になれる気がした。



「……2人は大丈夫。2人が元気になったら、またいっぱい遊ぼう」



兄として、そばで支えてやらなければならないと思った。


長男として、家族を支えなければならない。


今いちばん辛い思いをしているのは、俺ではない。

お父様やお母様でもない。


ローナとユアンだ。


今いちばん頑張っているのだって、ローナとユアンだ。



俺だけが、こんなところへと逃げてどうする。



そう思った俺は、手術室の前へ戻った。


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