世界一幸せな国Ⅰ
もう1人の家族を迎えに行くために、一家は病室を出た。
俺に車椅子を押されているローナが、感心したように言う。
ロ「国立病院の病室は個室なんだ。個室なのは一部の部屋だけかと思ってたよ」
「ローナ。ここだってそうだ。この件は極秘にしなければいけないから個室にしたんだよ」
ロ「へぇ、そんなこともできるのね!天皇さ……王様とかのお金持ちの方だけかと思ってたわ!」
……てんのうさま?
誰だ、それは。
ローナにくっつく悪い虫か?
ローナが敬称を様にしているということは身分が上なのか?
「ローナ、その、てんのうさまとは誰だ?」
ロ「ううん、夢に出てきただけだから、忘れて」
ローナがこちらを見ずに言った。
理由は、着いたからのようだが。
ローナは、手を伸ばしてノックをする。
──ロ「ユアンー、入るねー」