世界一幸せな国Ⅰ
ベルモンドが、ごゆっくりと言って出て行ったあと、ローナが口を開いた。
ロ「ねぇ、ユアンの病室はどこ?そろそろユアンも目覚めるはずなんだけど……」
バ「右隣の305だけど……どうしてそんなことが分かるの?」
お母様が答える。
俺も気になっていた質問を添えて。
ローナは、一瞬しまった!という顔をしたが、すぐに諦めたように溜息をついた。
ロ「詳しいことは退院してから話そうと思ってるんだけど、私とユアン、意思疎通できるのよ。出来るっていうより、アクセスできない状態でない限り、常に繋がっているの」
バ「そうだったの!?知らなかったわ!」
お母様はとても驚いている。
お見舞いの品を置いていた手が止まった。
こんなことを言っているが、俺だってそうだ。
当然俺も知らないのだから。
俺たちはまだ2人のことを全然知らなかったんだということに軽くショックを受けた。
と、そんなみんなは他所に、ローナがモゾモゾし始めた。
「ローナ?どうした?」
俺が聞くと、恥ずかしそうにモゾモゾしていたローナが意を決したように顔を上げて、言った。
ロ「情けないことに、手も足も力入んないから車椅子に乗せてくれない?」
ロ「……ありがとう」
俺が車椅子に乗せてやると、よほど恥ずかしかったようだ。
背けた顔を、真っ赤にさせていた。
とても可愛い。
やはり俺の妹は天使だ。
しばらくこのままでもいいかもしれない。なんて思ってしまった。