世界一幸せな国Ⅰ
魔「ウィル、今帰ったよ」
ドアは、昔から建つ日本式の一軒家のような引き戸だった。
ウィルと呼ばれた魔族は、吊り上がった目が特徴的だった。
どうやらこの魔人の妻らしい。
ウ「あぁ、ルドか。おかえり。ところで……明日はご馳走だって聞いたんだけど……」
その吊り上がった目を細めながら、ルドと呼ばれた魔族からこちらへと目を移した。
ウ「あら……この子たちが今日連れて帰るって言ってた……?」
ル「迷子になったようだ。かなり深くまで来てしまっていたよ」
ウ「そうなの……可哀想に、さぞ不安だったでしょう」
ウィルは、そこそこ演技が下手なのかもしれない。
ところどころで詰まったり、イントネーションが変になっていた。
……慣れているわけではないのか?
ウ「2人とも上がっておいで。ちょうど晩御飯の時間だから一緒にいただきましょう」
お邪魔しますと言い、家に入った。
本当に、日本かのようだった。
床には畳が敷いてあり、奥には仏壇もある。
窓は大きく、縁側もあった。