好きのおもさ

「気をつけ! 礼」

「「「ありがとうございました」」」


終礼が終わり、号令もかかりようやく解放された.


私は一番に教室を出た.


「わりぃ、俺先に帰るわ」


やたら大きな声が聞こえた.


「「「ばいばい~」」」


やっぱりアイツは人気なんだな.


私の隣の席の人は.



そそくさと校門を抜け、帰り道を黙々と歩いた.


「どうしたんだよ、おまえ」


不意に声がかかった.


もちろん、宇川くんに.


「何が?」


「今日変だぞ」


何で宇川くんに心配されなきゃいけないの。


「いつものことじゃん、私が変ってことは」


気に入らないのか、ますますそっけなく返事をする。


「何悲観してんだよ.


今日は授業中とかも変だったぞ.

いつもより目つき悪かった」


彼の正直な感想が、癪に障る。


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