好きのおもさ
『あ! 本当だ.
もう5時だ.
でも・・・ ぼくのお母さん、迎えに来ないんだ.
それにここにも、あっちにも友達が帰っちゃって...
今ぼく1人なんだ!
だから一緒に遊んでくれない?』
少年は、寂しげに私に訴えた.
あの子が言う、『あっち』っていうのは、隣の児童館.
児童館は、親が働いて家にいられない家庭の子を預かる施設だ.
ここにいる子は大抵児童館で遊ぶか、図書館に来ている.
やんちゃな子が多くて、図書館が騒がしいことはよくあることだ.
だけど今の時間帯、親も仕事が終わりぞくぞくと子どもを迎えに来ている.
そんな中、彼の親はまだ迎えに来てないみたいだ.
『仕方ないな、少しだけだよ』
私はしょうがなく了承し、図書館を出る.
さすがに図書館で遊ぶと、注意を受けてしまうから.