好きのおもさ
彼にしか聞こえないことはわかってる。
みんなに言わないといけないということは、承知のことだ。
だけど私は彼一人にしか言わず、会場を出た。
随分と暗くなっている景色に、驚く。
ゆっくりと歩を進める。
「立山?」
暗がりの中、私を呼ぶ声が聞こえる。
その声は、聞き覚えがあった。
何も言わずに振り返る。
「やっぱり立山じゃん。
何してんの?」
気軽に話してくれて、私と同じバイト先の制服を着ている男…
えっと、佐川とか言ってた人だ。
「打ち上げの帰りなんだ、今。
まだ帰る気配はなかったけど、私一人で抜けてきた」
少し冷たい感じで言葉を出していく。
「そっか。打ち上げか。
今日何かあったのか?」