好きのおもさ
「いい、もう帰る」
声が大きくならないよう、なるべく謹んで会話をする。
「ダメだ。
どうしてだ?急に帰るとか言い出して」
「それはいつものことでしょ。
どうして?は、こっちのセリフよ。
どうしたの?いつもなら店に入ってまで私と話をしようなんて考えないのにさ」
掴まれていた腕はようやく解放された。
私は逃げもせず、彼の話に耳を傾ける。
「今日の立山、なんか変だから。
俺に話して少しでも精神的に楽になってもらおうと思って。
だから話聞いてみようって思って。
それに珍しく、あの白川っていう人からの誘いを断ってたし。
俺の手を引いてまで彼女から逃げようとしてたみたいだし。
だからな」
そこまで宇川くんに見破られていたのか。
私って周りから見たら、わかりやすいヤツなのかな。
ひょっとしたら私の表情一つで、何考えてるのか読み取られるのかもしれないのかな。
とにかく…私は宇川君と話をすることにした。