好きのおもさ

席を隔てた先に朝壬さんがいる。


自分の中の感情が抑えきれないせいで、私はつい行動した。


無意識に両手で彼女の両腕を力強く掴んでしまう。


「もう…嫌だ…

こんな所…来たくない…」


それは宇川くんや白川さんたち以外に見せた、初めての私の弱みだった。



出てきそうな涙を肘で拭う。


「加奈ちゃん…」


感情を読み取るように、朝壬さんは私の名前を呼ぶ。



「加奈ちゃん、大丈夫だよ!!


ここが嫌だとしても、あたしが居る!!


味方がいる。


少なくともあたしと京子は、加奈ちゃんの味方だよ」


席の後ろの方で見ていた新山さんが、私の方に駆けて言ってくれた。



「私も、加奈ちゃんの味方」


そして隣の席に新上さんも言ってくれた。



他の人はただただ私たちを見ていた。


残りの人はみんな、敵なんだと改めて自覚させられた瞬間だった。



と、その時。


担任と宇川くんが教室に入ってきた。


宇川くんはそっと私の方に目を向けた。


一瞬だけ目が合った。


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