好きのおもさ
人って自分が優位に立てると、性格が悪くなるんだよな。
「母さん、風呂沸いてる?」
宇川くんがずんずんと中に入っていく。
行き場のない私は、玄関で靴を脱がず三希を背負ってるだけだ。
そして少し話し込んだ宇川くんは、こちらに来た。
「風呂場こっち。
三希と一緒に入りなよ。着替えはこの中に入れていいからさ」
宇川くんはビニル袋を持って、風呂場に案内してくれる。
着替えっていうか…制服なんですけど。
制服をビニル袋に? なんか嫌だ。
「制服入れたら、私は何を着て帰ればいいの?」
今日は体育がなかったから、体操服すら持ってない私。
だから着替えるものなんか持ってるはずがない。
「俺が服を貸してやるよ。
三希の服は…弟の服を着てもらうな」
は?!
何で私がコイツの服を着ないといけないんだ?!
「え、何で私が、あんたの服着ないといけないの?!
その…あんたの…」
はっきり母親のものを着させてよ、と言うのは申し分ないと思うから言えない。
だけど彼は私が言いにくい内容を理解してくれたみたいだ。