好きのおもさ
「そうなんだ」
「ただね、加奈ちゃんがはっちゃける所を見たかっただけだから.
加奈ちゃん、プレーの姿可愛かったよ!!」
何その褒め言葉…。
無理矢理言っているくせに、私の感情を動かそうとしないで。
「無理に私を励まそうとしないでよ.
言っていいんだよ!! 私のせいで負けたって.」
「そんなぁ・・・
そんなこと誰も思ってないから、気にしないでいいよ?」
私のせいで負けたこと、みんな気にしてない?
そんなこと、思えるわけがない.
絶対これから陰口言うに決まってる.
私が帰るから、教室でそれを取り上げてみんなで盛り上がるに決まってる.
「早く教室に戻れば?」
「え? 何で?」
「きっとこれからが、楽しいと思うから.
クラスみんなで楽しみなよ」
私はそう言って帰る.
「加奈ちゃんも一緒に・・・!」
彼女の呼びかけに、私は答えなかった.
第一あの人の名前も知らない.
今日やっと朝壬さんと、新山さん、ヒロっていう人を覚えたんだから・・・.
「今日の球技大会、トロフィー持って行かれたのはおまえのせいだぞ」
帰り道を歩いている途中、不意にこんな声が聞こえた.
私は声の主を振り返って見た.