好きのおもさ

「そうなんだ」


「ただね、加奈ちゃんがはっちゃける所を見たかっただけだから.


加奈ちゃん、プレーの姿可愛かったよ!!」


何その褒め言葉…。


無理矢理言っているくせに、私の感情を動かそうとしないで。


「無理に私を励まそうとしないでよ.


言っていいんだよ!! 私のせいで負けたって.」


「そんなぁ・・・

そんなこと誰も思ってないから、気にしないでいいよ?」


私のせいで負けたこと、みんな気にしてない?


そんなこと、思えるわけがない.


絶対これから陰口言うに決まってる.


私が帰るから、教室でそれを取り上げてみんなで盛り上がるに決まってる.


「早く教室に戻れば?」


「え?  何で?」


「きっとこれからが、楽しいと思うから.

クラスみんなで楽しみなよ」



私はそう言って帰る.


「加奈ちゃんも一緒に・・・!」


彼女の呼びかけに、私は答えなかった.


第一あの人の名前も知らない.


今日やっと朝壬さんと、新山さん、ヒロっていう人を覚えたんだから・・・.



「今日の球技大会、トロフィー持って行かれたのはおまえのせいだぞ」


帰り道を歩いている途中、不意にこんな声が聞こえた.


私は声の主を振り返って見た.


< 38 / 471 >

この作品をシェア

pagetop