好きのおもさ
「そう言えば満足なんか?」
「何が?」
またもや登場、宇川れおと.
この人の言いたいことが、上手く理解出来ない.
「まぁ本当.
おまえがぼーっとしてたから負けたのは、紛れもない事実だけど.
でもせっかく決勝戦に出られたんだから、もっと本気出していい試合見せろよ.
1組の決勝、おまえ達だけしか戦ってなかったんだからな」
・・・きっと今頃、教室でもこんな話をしてるんだろう.
この人が代わりに言いに来ただけ.
私が口出ししても、逆ギレにしかなんないと思う.
「好きで決勝戦に出たワケじゃないし.
だから私がどうコートにいようと勝手じゃん」
「おまえなぁ・・・
クラスの代表、応援、期待を背負ってよくそんなこと言えるな」
「じゃあ、宇川くんたちが決勝まで残ればよかったじゃん!!
何で決勝に出たくなかった私が、こんな言われ様なの?!
意味わかんないよ」
私はこれ以上、大会について言われるのが嫌だった.
それに・・・ こんな事になるってわかってたんだから、大会に参加したくなかったんだ.
やっぱり欠席した方がよかった.
「参加しなければよかった」
私は小さな声で言った.