好きのおもさ
「顔…上げてよ」
私を配慮する言葉をかけてくれる。
でも私は彼女の言う通りにするつもりはない。
「立山…?」
もう一度私の名前を呼ぶ彼。
「このひとどうしたのー?」
と、女性といた子どもが聞く。
「加奈ちゃん、お願いだから顔を上げて」
そっと私の頬に添えられる手が優しかった。
だから私はつられて顔を上げた。
「ビックリしちゃったよ。
こんなにも髪の毛をバッサリ切っちゃってたんだから」
私を目を合わせながら、優しく言ってくれる。
確かに彼女と最後に会った時の髪の長さは、胸より少し下の所まであった。
だけど今はギリギリ顎にかかるくらい、短くしている。
彼女の声掛けに無言のままの私。
何かを返そうとするつもりはない。
「加奈ちゃんに会えてよかった。
この街に来た甲斐あったな」