好きのおもさ

一旦思い出すのを止める。


ここから先は思い出したくない所だからだ。


「無理に俺に話さなくていいんだぞ」


甘ったるいことを彼は言う。


過去の全容を話すって決めたんだ。


こんな所で戸惑っちゃいけない。



そう思って私は、続きを話し始める。


「後悔しそうに振り返る友広くんは、今にでも後ろに走り出しそうだった。


『やっぱりちょっと、取りに行ってくる!!

どうしても欲しいものなんだ!!』


そう言って走り出した友広君。


でもすぐそこまで来ている炎。

油断は許されない状況を理解できてない友広君。



『ダメだって!!

もうダメ。私たちに時間はないの』


強引に階段まで引き戻した。


一段、二段と友広くんはゆっくりゆっくり下りていく。


『お母さんに最後に取りに行きたいんだ!!』



そう友広くんが振り返って私の方を向いた時。


私の我慢の緒が切れた。


何でこの状況に危機感を持てないんだって。



『早く下りてって言ってるんだ!!』



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