【完】イケメン*眼鏡*ランデヴー
「わん、な?…小さい頃から、こんな顔だから、ちやほやされて来たんだ。皆、周りはわんの見た目から近付いてきたりしていたんよ。」



聞きようによっては自慢にも取れる内容の話だけど、あまり嬉しそうではないその表情。



「わんぬ中身なんて見ててくれたの、永太と澪だけだったんよ。だから、特にいなぐはあまり得意じゃなかった。」



そうか。イケメンなうえに、三人の中でも特に華のある見た目の雅治は、見た目ばかり見られていることが嫌だったんだ。



雅治の眼鏡は太陽の光に弱いその瞳を守るもの。だけど、常に着用しているのはその見た目が好きじゃないからって、初日にも言ってたよね。



「けど、悠莉は最初から違った。わんを見た目で判断しなかった。媚を売ったりしないで、わんの中身を見てくれていた。…勿論、わんが初めて悠莉を見た時からビビっと来たのはしんけんだばぁ。けど、ホントに好きになったのは、そういうとこ。」



嬉しそうに微笑まれると、胸が苦しくなる。良く分からないキュンキュンでいっぱいになる。



「だって、雅治は雅治だもん。イケメンで王子様な見た目に惹かれるのはそりゃあ当たり前だけど、元気で、真っ直ぐで、いつも太陽みたいなところが、雅治の持ち味じゃん!」



「悠莉なら、きっとあんあびでぃくりゆんとうみたんよ。」



少し震えた声の雅治が、私の肩に頬を寄せると、フローラルのシャンプーの香りに混じって、雅治の汗の香りが少しだけ混じって私の鼻先を掠めた。



それは、決して不愉快ではなく、寧ろ、なんだか私を安心させた。
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