【完】イケメン*眼鏡*ランデヴー
「ジンジン、ジンジン、酒屋ぬ水喰ゎてぃ落てぃりよー、ジンジン。下がりよージンジン…。」



そして、更に涙腺をノックするように、永太が蛍に手を差し伸べながら、うちなーぐちで歌を口ずさむ。



「沖縄では、蛍を『ジンジン』と呼んでいましてね。思わず懐かしい民謡を思い出しました。」



美しい永太を取り囲む蛍の光が、夢の世界か絵の中の世界みたいで、幻想的。



「悠莉、知ってますか?この子達、こうやって光るのは、求愛の為なんですよ。短い命の中、こうやって愛を求めて、光るのです。」



「じゃあ、命の灯火なんだね、この光。」



懸命に求愛をする蛍が永太の艶やかな黒髪に光沢を与える。



「悠莉、頭にジンジン、停まってますよ。」



「え…………?」



儚い光の中、絵画みたいに微笑んだ永太が、柔らかな指先で私の頭に触れ、ぐい、と引き寄せる。



刹那、私の唇に、柔らかな温もりが降り注ぎ、甘くて、でもスパイシーな香りに全てが包まれる。
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