相容れない二人の恋の行方は
 そっと目を開けるとまだ部屋の中は薄暗かった。時計を見ると午前四時半。まだ二度寝できる時間だったけど、後味の悪い昔の夢を見たせいで再び眠りにつくことは出来なさそうだ。
 なぜだか息苦しくて、無性に外の空気が吸いたい、そう思った。でも、まだ地上30階のバルコニーに出る勇気の出ない私は外の空気を吸うには外に出るしかなかった。
 少し、散歩にでも行こう。服を着替え、上着を羽織り、肩掛けの小さなショルダーバッグに必要最低限のものだけを入れて部屋を出る。

 部屋を出るとすぐに、半開きのリビングのドアから明かりが漏れていることに気が付いた。
 こんな時間に起きているの……?
 そっと部屋の中を覗く。部屋の中はしんと静まり返っていて人がいる気配がしなかった。単に明かりを消し忘れただけだろうか。
 確認のために、念のため部屋の中に足を踏み入れると部屋の奥のソファのところまで来て驚きに飛び上がりそうになった。
 ソファで新谷が眠っていた。それもあられもない姿で。
 ソファに斜めに完全には横にはならず、片足だけが落ちている。座りながら眠ってしまって、そのままズルズルと体制が崩れてきた、そんなところだろう。

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