相容れない二人の恋の行方は
 木崎さんは謝ったけど、謝ることなんてない。むしろこっちがお礼を言いたいくらいだ。
 私さっき……新谷に向かって何を口走ってた?
「本当は……向かい合って、目を見て……後ろばっかじゃなく隣を……」。
 直後に、部屋のインターホンが鳴って、薄暗い部屋の隅に設置された明るく光るモニターに映る二人の姿が見えたんだ。
 あの時、酷い動揺に今まで思いもしなかった言葉が、感情が、勝手に暴れ出してとんでもないことを口走ろうとしていた。木崎さんたちがきてくれなかったら私……。
 隣を並んで歩きたかった、だなんて。私の言葉はまるで告白じゃないか。そんなことあるわけが……

「真由子」
「……ひっ、は、はい!?」

 突然新谷が隣にやってきて、私は身構えた。

「弘毅がピザがいいって言ってるんだけど、真由子、ピザとか食べる?」
「私はお腹減ってないので。お茶の用意したら部屋に戻ってもいいでしょうか……?」
「だめ」
「あ、あの」
「だめ」
「……ピザで、いいです」

 新谷本人は、まるで何事もなかったかのように気持ちがいいほど普段通り。私の口走ったことなんて気にも留めていない様子。そうだよ、それが普通だよ。私もさっきの暴走のことは早く忘れよう。
 でも、会話を終えても立ち去らない新谷の口から出た言葉に再び動揺する。

「さっきは……」

 ドクンと一度、大きく胸が高鳴った。すると直後に「真由子ちゃん、手伝うよ!」と声がして目を向けると、木崎さんが笑顔でこちらへとやってきた。

「ねぇ、千智。弘毅君がお酒飲みたいって言ってるんだけど、置いてる? なければ買いに……」
「あるよ。分かった、用意する」

 新谷が立ち去ってほっとしていると、木崎さんが小声で言った。

< 135 / 194 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop