相容れない二人の恋の行方は

31 これはキスじゃない!?

 明かりを消して横になる。
 木崎さんはベッド。私はベッド元に敷いた布団に。
 豆電球の淡い照明の光を見つめながら、私はポツリと呟くように言った。

「木崎さん。……今までごめんなさい」
「え? 急になぁに? 真由子ちゃんに謝られるような心当たり、一つもないんだけど……」
「ないって思ってくれるなら、いいんだけど。でも、謝りたかったの」
「……よく、分かんないけど……」

 木崎さんはベッドの上から私を覗き込むと「いいよ!」と言って微笑んだ。そしてすぐにまたごろんと仰向けにベッドに転がると静かに口を閉ざした。
 私もそっと目を閉じた。

< 139 / 194 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop