相容れない二人の恋の行方は
「今日は今から真由子の家に行く」
「えっ!」
「弘毅に聞いた。部屋の片づけ終わってないんだろ?」
「あ……」

 前に住んでいた部屋には弘毅さんとの一件があって以降一度も行っていない。気付けば退去の日が目前にまで迫ってきていた。

「手伝うよ」
「えっ!!」
「……なんだよ。そんなに驚くことじゃないだろ」
「だ、だって……」
「頼まれればそれくらいのことはするよ。真由子から頼んでくることなんかないと思うけど」

 エレベーターを降りるとマンション前で白い高級車のお出迎え。昔新谷の家に行った際に高そうな車が何台も停まっているのを目にはしていたけどあの時は出かける時にも乗ることはなかったのに。

「どうした?」
「いや……別に」
「家に連絡入れたらさ、迎えをよこすってしつこくて」
「はい?」

 新谷の言葉の真意はまったく分からないまま車に乗り込み、電車で向かうよりも半分の時間で目的地に着いた。
そして着いてすぐにさっきの言葉の意味を理解した。
 私の部屋の前に、女性が五名並んで待機している。

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