相容れない二人の恋の行方は

34 デートしよう

「わぁ! 似合うよ真由子ちゃん! 思った通りだわ! ガーリーな雰囲気の服も似合うよ!」

 平日休みのことが多い木崎さんだけど、わざわざ私の休日に合わせて休みを調整してくれ、前に約束を交わした買い物に一緒に来ることが出来た。
 木崎さんがいつも買い物に来ると言うブランドショップでは、彼女専任の販売員がつき、希望に合わせて服を見立ててくれる。
 木崎さんの指示で私に用意されたのは季節感に合う白生地のブラウスに黒のウエストベルトつきのフレアノースリーブのワンピースといったシンプルなコーデ。でも細部にワンポイントで可愛らしくビジューがあしらわれていたり、スカート丈が自分にしては短かったりと素直にいいと納得できるものではなかった。

「そ、そう……?」
「うん! 真由子ちゃんスタイルいいからパンツスタイルもいいけど、せっかく綺麗な脚してるんだからヒール履いて出した方がいいよ」
「あ、脚って……これが……綺麗? そ、そうですか?」
「いつもヒールが低かったり、ない靴を履いてるでしょ? すみません、洋服に合うストッキングと靴もお願いできますか? あ、髪飾りと細かいアクセサリーもお願いできます?」

 木崎さんはさらに販売員に要望を伝えると、すぐにアイテムを用意してくれる。そしてそれらをすべて身に着け再び木崎さんの前に立つと彼女は満面の笑みを浮かべた。

「可愛い! すごくいいよ! うん!!」
「変じゃない?」
「うん! 全部そのまま買っちゃうのもありだと思うな」
「……えっ」

 試着をしながら目を通した値札に記された金額は、私がいつも購入する洋服とはケタが違った。全部を購入するのは無理。でもワンピースだけなら自分へのご褒美だと思えば手が出せない金額でもない。社会人になってからまだ一度も高価な買い物をしていないし……。
 私は試着したワンピースだけを購入することを決め、人生で初めて、持っているけど使ったことのなかったクレジットカードで支払いを済ませた。

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