相容れない二人の恋の行方は
ショップをあとにした私たちは次の目的地を決めながらブラブラと歩く。
「用事は済んだけど、せっかくだからお茶していこうよ。どこがいいかな~」
行き先は木崎さんに任せ、私は彼女について歩く。
「さっきの洋服や小物……買って、あとから千智に請求すればよかったのに」
「えっ! ……それはいくらなんでも出来ないよ」
「まぁ、たしかに。いくら恋人でもそんなこと簡単にしちゃだめか。ごめん。そのつもりでいたから……。今度はもっとリーズナブルなところに行こう?」
「ごめんね……合わせてもらちゃって」
「ううん、何言ってるの? 私、真由子ちゃんが着てるショップの服だって結構持ってるし知ってるよ? 私が普通じゃなかった、いけなかった。ごめんね」
「ううん。一人じゃさっきみたいなお店には行けないから……憧れはあったの。だから今実は嬉しいんだ。一着くらい持っていてもいいよね」
先ほど買ったショップバッグを胸元へ掲げて見せると、木崎さんは「デートで着てね」と言って微笑んだ。
「でも木崎さんってほんと……昔からオシャレだよね。派手じゃなくて絶対に清楚なんだけど、良く見ると分かるというか……髪もメイクも、持っている小物も。どこで勉強してるの?」
「勉強って……ふふっ。あ、でもね、ある人からいっぱい教えてもらったよ。真由子ちゃんも知っている人だと思う」
「え? 誰?」
「エリカちゃん」
「……ん?」
「千智のお家のメイド長って言えば分かる?」
「!!」
新谷の家に勤める使用人を束ねる、新谷がメイド長とそう呼んでいた女性だ。どことなく雰囲気が元上司の河本さんに似ていて、私はそんな彼女に過去に一か月間みっちりと使用人としての仕事を叩きこまれたのだ。あの時、初日に逃亡を試みたけど彼女に捕まって……彼女から逃げることは叶わないだろうと一瞬にして悟った。
「見かけによらず可愛いものが大好きでね、よく着せ替え人形やらされたの。最初は嫌だったけど……センスいいし、手先も器用だし、髪のアレンジとかいっぱい教えてもらったよ」
「へ、へぇ……」
「ちなみに、エリカちゃんにメイド服を勧めたのは私」
「えぇっ!」
「絶対好きだと思ったの! だから提案してみたら……翌月には千智のお家にはメイドさんでいっぱいになってた。可愛いよねぇ。ふふっ。ねぇ、今度一緒に会いに行こうよ! たぶんまだいるはずよ?」
「えっ……」
木崎さんの言葉に頷けない。だって……あの人怖いもん。
返事をしないまま、木崎さんは何かを思い出したように口を開いた。
「あ、真由子ちゃんパンケーキどう? この近くに美味しいお店知ってるの!」
「うん」
「じゃあ、決まり。案内するね! ……ん?」
木崎さんは急に立ち止まり、バッグの中からスマートフォンを取り出した。
「メール。弘毅君からだ」
「どうしたの?」
「今起きたんだって」
「そう……って、え、もうお昼すぎてるよ!?」
木崎さんはディスプレイに目を向けながら微笑む。
色々悩んでいたみたいだったけど、二人は付き合うことになった。木崎さん曰く悩んだらキリがないけど、好きだと言う気持ちは止められなかったらしい。
「帰りに寄ろうかな。そういえば真由子ちゃん、前は隣に住んでいたんだってね?」
「半年くらいだけどね。弘毅さんとはほぼ入れ違いで」
「一人で住むには十分な広さよね。千智の家行ったら羨ましいって思って感覚がマヒしてたけど……」
「木崎さんはずっと実家なの?」
「うん。でも……最近出ようかなってちょっと思ってる。ねぇ、あの家、二人で住むには狭いかな?」
「え、それって……」
「じゃあ、隣の部屋に住もうかな。真由子ちゃんが住んでたとことか。まだ空いてるみたいだし」
「本気?」
「うん!」
笑顔で頷く木崎さんの頬はほんのり赤くなっていて、弘毅さんと一緒にいたいのだなぁという気持ちが伝わってくる。
「楽しそうだなぁ。よかったね」
そう笑顔で言って伝えると、同性の私が思わず胸をきゅんとさせる可愛らしい笑顔が返ってきた。
その後木崎さんとはカフェでお茶とパンケーキを楽しんで、その場で弘毅さんの元へと向かう木崎さんを見送った。
時計を見ると午後三時。まだ帰宅するには早い時間だけど目的もなくブラブラするのは得意じゃない。私はまっすぐにマンションへと向かった。
「用事は済んだけど、せっかくだからお茶していこうよ。どこがいいかな~」
行き先は木崎さんに任せ、私は彼女について歩く。
「さっきの洋服や小物……買って、あとから千智に請求すればよかったのに」
「えっ! ……それはいくらなんでも出来ないよ」
「まぁ、たしかに。いくら恋人でもそんなこと簡単にしちゃだめか。ごめん。そのつもりでいたから……。今度はもっとリーズナブルなところに行こう?」
「ごめんね……合わせてもらちゃって」
「ううん、何言ってるの? 私、真由子ちゃんが着てるショップの服だって結構持ってるし知ってるよ? 私が普通じゃなかった、いけなかった。ごめんね」
「ううん。一人じゃさっきみたいなお店には行けないから……憧れはあったの。だから今実は嬉しいんだ。一着くらい持っていてもいいよね」
先ほど買ったショップバッグを胸元へ掲げて見せると、木崎さんは「デートで着てね」と言って微笑んだ。
「でも木崎さんってほんと……昔からオシャレだよね。派手じゃなくて絶対に清楚なんだけど、良く見ると分かるというか……髪もメイクも、持っている小物も。どこで勉強してるの?」
「勉強って……ふふっ。あ、でもね、ある人からいっぱい教えてもらったよ。真由子ちゃんも知っている人だと思う」
「え? 誰?」
「エリカちゃん」
「……ん?」
「千智のお家のメイド長って言えば分かる?」
「!!」
新谷の家に勤める使用人を束ねる、新谷がメイド長とそう呼んでいた女性だ。どことなく雰囲気が元上司の河本さんに似ていて、私はそんな彼女に過去に一か月間みっちりと使用人としての仕事を叩きこまれたのだ。あの時、初日に逃亡を試みたけど彼女に捕まって……彼女から逃げることは叶わないだろうと一瞬にして悟った。
「見かけによらず可愛いものが大好きでね、よく着せ替え人形やらされたの。最初は嫌だったけど……センスいいし、手先も器用だし、髪のアレンジとかいっぱい教えてもらったよ」
「へ、へぇ……」
「ちなみに、エリカちゃんにメイド服を勧めたのは私」
「えぇっ!」
「絶対好きだと思ったの! だから提案してみたら……翌月には千智のお家にはメイドさんでいっぱいになってた。可愛いよねぇ。ふふっ。ねぇ、今度一緒に会いに行こうよ! たぶんまだいるはずよ?」
「えっ……」
木崎さんの言葉に頷けない。だって……あの人怖いもん。
返事をしないまま、木崎さんは何かを思い出したように口を開いた。
「あ、真由子ちゃんパンケーキどう? この近くに美味しいお店知ってるの!」
「うん」
「じゃあ、決まり。案内するね! ……ん?」
木崎さんは急に立ち止まり、バッグの中からスマートフォンを取り出した。
「メール。弘毅君からだ」
「どうしたの?」
「今起きたんだって」
「そう……って、え、もうお昼すぎてるよ!?」
木崎さんはディスプレイに目を向けながら微笑む。
色々悩んでいたみたいだったけど、二人は付き合うことになった。木崎さん曰く悩んだらキリがないけど、好きだと言う気持ちは止められなかったらしい。
「帰りに寄ろうかな。そういえば真由子ちゃん、前は隣に住んでいたんだってね?」
「半年くらいだけどね。弘毅さんとはほぼ入れ違いで」
「一人で住むには十分な広さよね。千智の家行ったら羨ましいって思って感覚がマヒしてたけど……」
「木崎さんはずっと実家なの?」
「うん。でも……最近出ようかなってちょっと思ってる。ねぇ、あの家、二人で住むには狭いかな?」
「え、それって……」
「じゃあ、隣の部屋に住もうかな。真由子ちゃんが住んでたとことか。まだ空いてるみたいだし」
「本気?」
「うん!」
笑顔で頷く木崎さんの頬はほんのり赤くなっていて、弘毅さんと一緒にいたいのだなぁという気持ちが伝わってくる。
「楽しそうだなぁ。よかったね」
そう笑顔で言って伝えると、同性の私が思わず胸をきゅんとさせる可愛らしい笑顔が返ってきた。
その後木崎さんとはカフェでお茶とパンケーキを楽しんで、その場で弘毅さんの元へと向かう木崎さんを見送った。
時計を見ると午後三時。まだ帰宅するには早い時間だけど目的もなくブラブラするのは得意じゃない。私はまっすぐにマンションへと向かった。