相容れない二人の恋の行方は
「いいなって思う人がいたら自分からいくからいいの。でもなかなかいないの。学院から出てもっと外で遊びたいけどパパとママがうるさいし……千智はおじさまやおばさま、おじいさま家族が家を離れていることが多いから私に比べたらまだ自由よね。うらやましいよ。私も誰かに愛されたい。ドキドキしたーい」
「ドキドキねぇ……」

 無意識にため息が漏れた。

「あ、感じ悪ーい。呆れてる? いいよね、千智は。自分だけ楽しんじゃってさ! 私にも幸せを分けなさい!」

 幸せを分ける……?
 どういうことだ? まるで僕が幸せを自慢して浮かれているような言い方だ。
 僕は今が充実しているとは思ってないし、楽しいと思ったこともない。恋だの愛だの馬鹿馬鹿しい。
 気分を害し、一向に勉強をする気配のないまなみに一言。

「やる気ないなら帰る?」
「ご、ごめん! やるやる!」

 姿勢をただし再びペンを取るまなみを横目で見ながら、結局、涙目になって必死に頼ってくる彼女の納得がいくまで付き合わされるはめになる。
 幼馴染で、妹に近い存在。嫌いじゃないし、日頃一緒に過ごすことも多く気は楽だ。ただ……出会う形が違っていたら自分から近づくことは決してない、間違いなく苦手なタイプの女性だ。

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