相容れない二人の恋の行方は
「あの……私そんなこと一言も言ってませんけど……? それに、お手伝いをしている暇なんて……!」
「また勉強のことを心配してるのか。進学のことなら心配しなくてもいい。ボクがついてる」
「そ、そうじゃなくて……」
「なに」
「い、いえ……」

 瞬間的にこの先は言わない方がいいと判断した私は突然口ごもる。そんな私を無視して新谷は五人の方へと向きなおすと「さ、行こうか」と言った。
 ……ん? 行くって……
 私は慌てて生徒会室を出て行こうとする新谷を止める。

「ま、待ってください! 私はここで待機しててもいいでしょうか!?」
「どうして?」
「高所恐怖症だし、乗り物も苦手なんです……」

 バイクとか、特に。と心の中で付け加える。

「電車やバスですら長時間乗っていられなくて……すぐに気分が悪くなってしまって……だから遊園地なんてとてもじゃないけど」
「そうか、そうなんだ」

 新谷はゆっくりと私の元へと近づいてきてじっと私を見据えると微笑んだ。普段二人いる時にはめったに笑顔なんて見せない人だから、笑顔を向けられるだけでぞっと背筋が震える。

「でも苦手意識は良くない。いつの間にか克服できていたってこともあるし試しに行ってみよう。向こうに着いて無理そうなら、無理はしなくてもいいから。それに視察に行くだけだから必ずしも乗り物に乗る必要はそもそもないしね」

 私を気遣う優しい言葉。ここで、終わればいいのに。
 続いて私だけに聞こえる小声で悪魔のささやき。

「へぇ~、そうなんだ」

 そう言って、結んだままの唇にかすかな笑いを浮かべる。嫌な予感しかしない。

「い、行きません! 私は行きません!」

 新谷は首をぶんぶんと振って拒否をする私に背を向け「悪いけど、連れて来てくれる?」と言うと部屋を出て行った。その後に金城さんと、男子生徒が続いて外に出て行き……

「え……?」

 取り残されポカンと口を開ける私の両脇に、生徒会の女子生徒が立つ。そしてそのまま両手を引きずられ、力を入れて抵抗すると両足が宙に浮いた。は、運ばれてる!?

「い、いやぁぁぁっ!!」

 私の悲痛な叫び声が生徒会室に響き渡り、最後に私が出て誰もいなくなった生徒会室の扉がパタンと閉められた。

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