相容れない二人の恋の行方は
 今日、自宅(ここ)へ来たと言うことは、私が新谷との同居をはじめてから一か月が経過してようやく現実を受け入れられ、しばらくは仕事だと思って同居をしていく覚悟が出来たと言うことだ。でも一生続けるつもりは毛頭ない。時間がかかってでも、少しずつ説得をして、元いた会社に戻してもらうつもりだ。

「はぁ……結構荷物あるなぁ……」

 チェストに入っている洋服を処分するものとしないものと分け、持っていくものを一枚ずつたたみながら自然とため息が漏れた。そしてふと思う。
 毎日の炊事洗濯、その他家事、雑用。その二人分を毎日当たり前のようにこなしている。最早私は秘書でもなんでもなく新谷にとってのただの便利屋、召使……あ、マネージャーだっけ? しかし、どうしてわざわざ私なのだろう……? 私なんかより出来のいいヒトは他にいくらだっているはずだ。前々からいくら考えても分からない疑問により一層大きなため息をついた時だった。めったに鳴らない部屋のインターフォンが鳴った。

「はーい?」

 恐る恐る部屋の扉を少しだけ開けると、見知らぬ男性が立っていた。

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