相容れない二人の恋の行方は
「別に強要をされているわけでもないし、何か他に進みたい道でもあれば好きなことやれると思うんだけど。でも真由子と一緒でさ、昔から将来これといってやりたいって思うようなこともなかったし……」
「仕事は仕事で。それ以外のところで自分の好きなことを見つけると言うのもありだと思います。さっきも言いましたけど、自分の好きなことを仕事にしている人なんてほとんどいないんだし、今の仕事はやりたいことじゃないって投げやりになるんじゃなくて、いくらでも他に仕事以外に楽しみは見いだせると思います。プライベートが充実していれば仕事だってやる気に……」
「真由子の場合例えば?」
「私は……本を読むのが好きなので、寝る前の読書タイムが至福の時間で……」
「……暗っ」
「い、いいじゃないですか! あとは……映画好きだから、よく一人で観に行くことも……」
「ふーん。映画ね。好きなジャンルは?」
「ほのぼのしているものが好きです。心温まるファミリー映画や、意外と感動系のロマンスも……」
「正直ボクが苦手なジャンルだ。というか映画自体、大抵途中で寝ちゃうんだよね。だいたいさ、真由子って基本インドアだよな」
「……」
「ボクと真逆だよな。……考えてみると、色々と合わないよな~ボクたち」
「……えぇ。昔から常にそう思っていましたけど……」
「え?」

 しまった、本当のことを正直に言ってしまったと焦る私とは対照的に、新谷はきょとんとした表情で瞬きを繰り返しながら私を見据える。そして「なるほどね」と呟くと背を向けて先を歩いて行く。あとを追おうとするとまたすぐに立ち止まった。

「あ、そうだ」
「……なんですか?」
「今日この後行くところがある。帰りは遅くなるから夜はいらない」
「分かりました」

 食事の準備をしなくていいと思うとだいぶ気が楽だ。

「そういえば、最近弘毅から連絡はある?」
「いえ、ないですけど」
「ならいい」
「?」

 そう言うと、今度こそ足を止めることなく前を歩いて行った。

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