相容れない二人の恋の行方は
「君に一つ、忠告しておくことがある」
「忠告……?」
「この学院は家柄で人間を判断する奴らがほとんどだ。幼稚舎から通う人間は問題ないが、成績だけで外部から入ってくる編入組は学院内では常に蔑まれた目で見られ、陰口をたたかれ……編入して半年以上ここに通えた生徒は今までに一人もいない」
「そ、そんな……」
「その点ボクは外にもたくさんの友達がいる。家なんかで人を判断しない。だから、ボクが君の味方になってあげる」
新谷君は理事長の孫で、生徒会長が彼を語る口ぶりや、クラスメイトの彼に対する信頼もほんの少しの時間しか過ごしていないけど十分に伝わってきた。だから彼が味方になってくれればこれ以上心強いものはないと思う。でも、なんでそこまでしてくれるの……?
編入生のショックな実情に傷ついて、理由もなく味方になってくれると言っている新谷君の行動は理解ができなくて。頭の中が軽いパニック状態。
「その代わりといってはなんだけど、一つ、味方になる代わりに条件がある」
「条件……?」
「君、頭いいんだよね? ボクに、勉強を教えてほしい。ここんとこ遊んでばっかだったから成績ヤバくて」
「……は?」
あまりにも軽い条件に呆気にとられて言葉を失う。
「……だめ? 恩を売るつもりはないけどさ、一応、キミを一度救ったこともあるわけだし……」
「も、もちろんです! 助けてもらったし、そのくらいのお礼でいいなら、いくらでも……!」
「ありがとう」
あまり笑顔を見せない新谷君が、はじめて目も口元も柔らかな優しい笑顔を見せた。その笑顔があまりにも綺麗で、不覚にも一瞬、見とれてしまった。
立ち上がって向かい合わせになった新谷君に突如手を差し出されて、びっくりして一瞬あとずさった。びびる私にも一切動じない新谷君はじっと私を見つめる。
「よろしくね、吉井さん」
その時見せた極上の天使のような微笑みに誘われるように手を差し出した私は、新谷君と握手を交わした。
とりあえず、私の栄華学院生活はこのようにして幕開けした。
「忠告……?」
「この学院は家柄で人間を判断する奴らがほとんどだ。幼稚舎から通う人間は問題ないが、成績だけで外部から入ってくる編入組は学院内では常に蔑まれた目で見られ、陰口をたたかれ……編入して半年以上ここに通えた生徒は今までに一人もいない」
「そ、そんな……」
「その点ボクは外にもたくさんの友達がいる。家なんかで人を判断しない。だから、ボクが君の味方になってあげる」
新谷君は理事長の孫で、生徒会長が彼を語る口ぶりや、クラスメイトの彼に対する信頼もほんの少しの時間しか過ごしていないけど十分に伝わってきた。だから彼が味方になってくれればこれ以上心強いものはないと思う。でも、なんでそこまでしてくれるの……?
編入生のショックな実情に傷ついて、理由もなく味方になってくれると言っている新谷君の行動は理解ができなくて。頭の中が軽いパニック状態。
「その代わりといってはなんだけど、一つ、味方になる代わりに条件がある」
「条件……?」
「君、頭いいんだよね? ボクに、勉強を教えてほしい。ここんとこ遊んでばっかだったから成績ヤバくて」
「……は?」
あまりにも軽い条件に呆気にとられて言葉を失う。
「……だめ? 恩を売るつもりはないけどさ、一応、キミを一度救ったこともあるわけだし……」
「も、もちろんです! 助けてもらったし、そのくらいのお礼でいいなら、いくらでも……!」
「ありがとう」
あまり笑顔を見せない新谷君が、はじめて目も口元も柔らかな優しい笑顔を見せた。その笑顔があまりにも綺麗で、不覚にも一瞬、見とれてしまった。
立ち上がって向かい合わせになった新谷君に突如手を差し出されて、びっくりして一瞬あとずさった。びびる私にも一切動じない新谷君はじっと私を見つめる。
「よろしくね、吉井さん」
その時見せた極上の天使のような微笑みに誘われるように手を差し出した私は、新谷君と握手を交わした。
とりあえず、私の栄華学院生活はこのようにして幕開けした。