相容れない二人の恋の行方は

20 無意識に叫んでしまったのは

 休日の朝、予定のなかった私は一通りの家事を済ませるとカーテンを閉めたままの薄暗い部屋にこもって大好きな本を読んでいた。
 部屋の扉をノックする音が聞こえて本から扉に視線を移すと、扉の向こうから「真由子、ちょっといい?」と言う新谷の声が聞こえてきた。
 私は読みかけの本にしおりを挟み立ちあがり扉を開けた。

「なんですか?」
「まなみから連絡があって、詳しいことは分からないけどお見合いの件は白紙になったって。真由子が心配してたって伝えたら、報告しておいてって言われたから」
「そうですか……よかったです」
「直接連絡を取り合えばいいのに。連絡先、教えようか?」
「い、いいです、そんな……」
「そう?」

 木崎さんとは彼女がここへ一泊をしに来た際に色々と話をして、気さくで愛らしく裏表のない彼女の性格はとても好印象で、女同士二人で楽しい時間を過ごせた。あの時は打ち解けあった気がしたけど、やっぱり、木崎さんのようなキラキラと輝くような女性、私なんかが友達だと呼べるような人ではない。

「ま、いいや。そんなことより今暇?」
「え?」
「ちょっといい?」

 新谷に呼ばれ、ついてリビングへと向かう。
 するとソファやリビングテーブルの上に大量のDVDが散乱していた。

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