相容れない二人の恋の行方は
「ぼっ……暴力はだめですよ! 暴力は……!」

 そしてすぐに自分の取った行動にはっとして、慌てて新谷から離れた。勢い余って壁に背中をぶつけてしまう。

「ご、ごめんなさい……!」

 謝りながら気が動転していた私は、続けていつもだったら絶対に聞かないようなことを彼に言った。

「どうして……いつも助けてくれるんですか? 私のこと、嫌っているのに……!」

 私の言葉に新谷はゆっくりと振り返る。さっきまでの怒っている様子はなく、真率な表情だった。

「嫌う? 嫌ってなんかいないよ。むしろ好意を持って」
「こんな時につまらない冗談やめてくださいよ!」

 言葉を遮ってつい熱くなって反論してしまう。言葉にした通り、今は冗談に付き合っている気持ちの余裕がなかったのだ。

「好意を持っている相手に、相手が嫌がることをしますか!?」

 よく、子供が好きな子をいじめるというのを聞くけど、新谷のそれは限度を超えていた。
 新谷は瞳を伏せ、ぼんやりと何かを考え込んでいるような沈んだ表情をして言った。

「知らなかったんだよ。恋なんて。もっというと、友達の作り方も、接し方も。なにも分からなかったんだ。正直……今も、ね。人との関わり合いは苦手だ」

 言い終えるころには、沈んだ表情は消えまたまっすぐに私を見据えていた。

< 96 / 194 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop