恐愛同級生
「ハァ……」
今日一日で何回ため息をついただろう。
放課後になっても気分は晴れない。
あんなに慌てて職員室へ向かったのに生物のプリントは5限に間に合わなくて先生にこっぴどく怒られるし、人にぶつかってスマホの液晶は割るし。
今日は厄日かも。
再びハァと盛大なため息を吐いた時、ポンポンッと肩を叩かれた。
「莉乃、一緒に帰ろう」
振り返ると、ニコッと笑う翔(かける)が立っていた。
ホント、いつみても綺麗な顔してるなぁ。
男の子にしておくにはもったいないほど整った顔の造形。
思わず見とれてしまうほどの美貌。
学校内でも人気があり、ファンクラブまであるほど女の子から絶大な支持を得ている翔がどうして平凡なあたしのことを好きになってくれたのか今も不思議でたまらない。
「莉乃?聞いてる?」
翔と付き合ってることがいまだに信じられない。
翔は……あたしのどこが好きなんだろう?
どこを好きになって告白してくれたんだろう。
「……――おーい、莉乃。莉乃ちゃーん」
ブンブンと顔の前で手のひらを振られてハッとする。