Under The Darkness






「おお! 蘭ちゃん!!」


 お父さん、見送るって着いてきてくれたんだけど、私と合流した途端ガバッと抱きついてきた。


「13年ぶりに見た! 美里ちゃんのその眸! 感動だ! 若き日の蘭ちゃんが目の前にがいるみたいだ!」


 興奮に声を踊らせるお父さんに、『静かに静かに!』と背中をバンバン叩く。


「痛い――っ、力強いっ! いやちょっとホンマ、マジで痛い痛いっ」


「……ああ、可愛い。このまま京介に渡してしまうのは惜しいな……」


 私の声を無視して、お父さんはポツリと呟く。

 何を言ったか聞き取れず、私は動きを止めて聞き返した。


「え? なに? なんて?」


「ううん。何でもないよ。で、滞在先は決まったのかい?」


 お父さん、腕の力を緩めてくれて、私はホッと息を吐いた。


「まだ聞いてないんよ。でも、事務所いくつか部屋あるから、そこ貸して貰うつもりやねんけど」


「んー、やっぱり心配だなあ」


「お父さん、お願い」


 渋りだしたお父さんに、私はまた、必殺『お父さんに甘える娘』な捨て身の演技を披露する。

 お父さん、カッと目を見開いて、


「くぅっ、『お父さん、お願い』このセリフはヤバいっ! 禁断ちっくでゾクゾクするっ」


 顔を赤くして再び身悶えだした。

 私、抱きしめてくるお父さんの胸を両手を突っ張っりながらムーッと押し返す。

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