Under The Darkness
「お、お父さんっ、なんや顔が怖いんやけど……」
肌がゾクリと粟立った。
ビクビクと不審者を見るような視線をお父さんに向けてしまう。
なんだか京介君に似た危険な雰囲気を感じてしまうのは、やはり血の繋がりがあるからなのだろうか。
なんて思いながら、恐々とした目で窺った。
「ああ、ゴメンゴメン。そ、そんな変な人を見るような目で見ないで、美里ちゃんっ! 携帯はちゃんと持っててね。何かあったら、登録してあるわたしの携帯へ連絡するように。いいね?」
「うん! ありがとう!」
「ここ、チューしてくれたら黙って見送ってあげる」
「え」
またも胡乱な目を向けてしまう。
けれど、ちゅーしてくれるまで一歩も引かないというお父さんの態度に、私は溜息を吐いた。
仕方ないと、私は背伸びしてお父さんの頬にチュッと唇を当てる。
「身体、あんまり無理したらアカンよ」
「!! たまらんっ! 禁断の扉を蹴破って今すぐ開けてしまいそうだよ! ありがとう、美里ちゃん! すぐに滞在先確認に行くからね。ふたりで一緒に住もうねっ」
なんだろう。お父さん、言い方もそうだが、顔がまんま不審者だ。
やはり彼は京介君の父親だと納得してしまう。
いや、私の父親でもあるわけだけど。
色んな葛藤が渦巻く中、私は、
「う、うん。わかった。れ、連絡ちゃんとするから、腕、離してくれん?」
そう言って、渋るお父さんの腕から逃げ出し、裏口から出ようとした時だった。
「敵だ! 美里ちゃん! 隠れてっ」