Under The Darkness
黙り込んでしまった私を気にしてか、京介君は、
「すいません、私も言いすぎてしまいました」
と、項垂れてしまった。
私は慌てて、
「あ、ええねん。私こそゴメン。短気だけは直さんとアカンてママにもよう言われてた。助けてもろたくせにワガママばっかり言うて、ホンマごめんなさい」
そう言って頭を下げた。
そうしたら京介君、困ったような顔で微笑むと、
「……貴女は感情がそのまま顔に出ますね。本当に昔から変わらない」
引っかかる言葉を言った。
私は首を捻った。
「え? 私、京介君と会った記憶ないんやけど……知らんとどっかで会うてたん?」
京介君と逢った記憶がない。『昔から』なんて、まるで私のことを知っていたような物言いに眉間に皺が寄ってしまう。
訝しむ私に京介君は慌てたように目を見開いた。
「昔、一度会ったことがありますよ」
私達がまだ子供の頃でしたけれど。
京介君はそう言った。
私はハッとした。
京介君は本妻の息子だ。そして、私は愛人の娘。
私の中で、昔体験した記憶が蘇ってくる。
私がまだ保育園児だった頃、確か、年長さんくらいだったかな。
ママに連れられて、どこかの広いお屋敷を訪れたことがあった。
あまりに広いおうちだったから、私は嬉しくてはしゃいでしまい、結果、迷子になってしまったんだ。
ママを探している途中、大きな池があって。
そこに泳ぐ色とりどりの鯉を眺めていた時だった。
赤や黄色に色を変え始めた紅葉の木の下でひっそりと佇む、綺麗な女の人に逢ったんだ。