Under The Darkness
『おや、可愛らしいお嬢さん』
おっとりとした韻律《いんりつ》で話す、病的なほどに色白な、黒髪の美しい人だった。
ゆっくりと近付いてきて、私の頭をよしよしと撫でてくれた。
そして、熱い眼差しでうっとりと私を眺めながら、甘くて毒のある言葉を囁いた。
『ああ、この顔。忌々しいあの女に瓜二つ。あの人の心を今も奪い続ける、娼婦紛いな穢れた女』
当時、私は彼女が何を言っているのかわからなかった。
血のように赤く塗った唇に綺麗な弧を描きながら優しく紡がれるその言葉に、私は彼女につられてにっこりと微笑んだように思う。
『あの人の血に穢れた混血女の血を混ぜるなんて許さない。子供はわたしの息子一人でいいの』
――貴女はいらない。
そう言って、彼女は私の首に手をかけた。
穏やかに微笑む切れ長な双眸に、狂気が走った。
私は息を呑んだ。
怖くなって逃げようとした。
けれど、首に加えられる力が強すぎて、逃げ出すことも出来なくて。
赤く尖った爪が首に食い込み、一気に気道を塞がれて、何も言葉を発せないまま意識が遠のいてゆく。
最後の記憶は、弓月型に歪む、真っ赤な唇。
そこで、私の意識はぷつんと途切れてしまった。