この恋、国家機密なんですか!?
「次はどこを切ってやろうか?」
代表のナイフの先が、ブラのストラップをひっかける。
私がびくりと体を震わせると、彼はその反応を鼻で笑いながら、ナイフを離す。
助かったのかと思ったら、今度はそれを頬にピタリと当てた。
「顔をリンゴみたいにむいてみようか?」
額から汗が落ちて、ナイフをつたってあごへと流れた。
怖くて声も出なくて、泣き出しそうになってしまう。
その時……。
「その女から手を離せ!」
人質が集まっている方から、声が聞こえた。
冷たいナイフが離れていったのを目で追い、そちらを見ると……。
「……ぁ、……」
いつの間にか拘束を逃れた宗一郎さんが、人質たちの前に立っていた。
私の方に集中していたテロリストたちが、ハッとした顔でいっせいにそちらに銃を向ける。
「なんだ、お前は!」
「どうやってロープをほどいた!?」
まるで狐につままれたような顔をして、テロリストたちが次々に叫ぶ。
「……こういった結び目については、少々詳しくてな」
宗一郎さんは、縛られていた手首を軽くふって調子を整えると、コートの上着に手を入れた。
ちょっと待って。
まさか、ここで正体を明かすつもり?