この恋、国家機密なんですか!?
人質はみんな、宗一郎さんをぽかーんと見上げている。
私も、意味がわからない。
宗一郎さんが警視総監の代わりになるって、どういうこと?
「いや……お前のことはもちろん殺してやるが、警視総監は警視総監だ。あいつが来なければ、人質は解放できない。いくらお前が、警視総監の息子だろうとな」
え……。
今、さらっと爆弾発言しませんでしたか、テロリスト代表。
宗一郎さんが、警視総監の息子!?
「そうか……ならば仕方がない。とにかく彼女を、こちらへ渡せ。警察には、俺を射殺する動画を送りつけるがいいさ」
宗一郎さんはそれでも涼しい顔で、そんなことを言ってのける。
「宗一郎さん!そんなのダメ!」
そんなのダメだよ。
自分が犠牲になるなんて、あなたらしくない。
叫ぶと、宗一郎さんは私を見つめた。
彼はこんなときなのに、不思議なくらい穏やかな目をしていた。
「唯……黙っていて悪かった。俺は5年前のたてこもり事件で、人を殺した」
宗一郎さんは、淡々と話す。
まるで、歴史の教科書をを読み上げているだけみたいに。