この恋、国家機密なんですか!?
そこまで言って私の存在に気づいた高浜さんは、ごほんと咳払いをした。
……なんか、意外な一面を見ちゃった気が……。
いつも紳士な高浜さんも、家に帰ったら普通の男の人なんだ。
「ええと……まあそういうわけでですね、テロリストが現れた瞬間に、篠田は麻耶を避難させてくれたようです」
「小ささを生かして、非常階段のところに隠れてました!」
なんか、誇らしげだけど……。
よく見つからずにすんだものだ。
運が悪かったら、テロリストに捕まって胸元を切り裂かれたのは、麻耶ちゃんだったかもしれない。
私はそっと、自分の傷に手を置いた。
皮膚が薄く切れただけのそこは、もう血も止まっていた。
「まーやー。お前は黙ってろ」
やっぱり怒っているらしい高浜さんに頭をわしっとつかまれて、麻耶ちゃんは涙目で下を向いた。
「それで、現場の状況を俺たち警察に実況すると同時に、篠田から『タイミングを見計らって、消火器で犯人の視界を奪い、人質を脱出させたら防火扉を閉めろ』というメールを受信し、そのようにしたと」
そういえば、私がひどい目にあっているとき、宗一郎さんはなかなか助けてくれなかった。
あれはロープをほどいていただけじゃなくて、麻耶ちゃんにメールをしていたからだったんだ。