この恋、国家機密なんですか!?
いやいやいや!
それは私が悪いんじゃないし!
もとはと言えば、何も教えてくれない宗一郎さんが悪いんじゃない!
にらみ返して反論しようとすれば、宗一郎さんは私のマフラーを取り去り、首筋に唇をはわせる。
「……っ……」
体は正直に反応して、思わず出そうになった声を噛み殺す。
部屋の外で、靴の鳴る音がしたからだ。
私の部屋はいわゆる角部屋で、階段に一番近い。
同じ階の他の住人が、帰ってきたのだろう。
「も、やめ……っ」
他人に甘い声を聞かせるなんて、そんな恥ずかしいことできない!
と思って声をひそめてお願いするけど、宗一郎さんは知らんぷり。
私の胸元を開けて、鎖骨に唇を寄せてくる。
───こつ、こつ、こつ……。
「……階段を昇り切ったみたいだな」
宗一郎さんはとっくに住人の足音に気づいていた様子で、耳元でささやく。
耳が弱点の私は、声が響いただけで、息がかかっただけで、体の力が抜けていった。
───こつ、こつ……。
足音がドアの正面に近づいたような気がした。
声を出しちゃいけないのに、宗一郎さんの手が止まることはない。
キスをして声を奪ってほしいのに、それもわざとしない。
その上、確実に私の弱点をつく。
もおおおおっ、なんて意地悪なのっ!?