この恋、国家機密なんですか!?
幸い、ダイヤルはまだ回されていなかったようで、金庫の扉は無防備に開いた。
そこには、宗一郎さんの黒いブランドものの長財布が。
「…………」
ちら、と宗一郎さんの方を振り返る。
彼が起きる気配はなかった。
胸がドキドキと高鳴る。
緊張で震える指先で、お財布を開く。
そこには現金と、色々な色のカードがある。
その中に住所が書いてあるものがないか、手早く探す。
保険証とか、免許証とか……。
「……な、ない……」
私はがっくりとうなだれる。
お財布を荒らすのだって、泥棒になったみたいで、ものすごい罪悪感。
この上、カバンを開けて探るとか、コートのポケットを探すとか、ビビリな私にはできそうにない。
「敵は一枚上手だった……」
私はお財布をぱたんとしめ、元の場所に戻した。
その瞬間……。
──ブビーッ、ブビーッ。
突然のスマホのバイブ音。
冷たいものが背中を駆け抜け、びくうっと大げさに飛び上がってしまった。