愛を知る小鳥
「あなには本当に申し訳ないことをしたと思ってるわ。でもそれと同時に感謝してるの」

「…感謝?」

「そうよ。あの一件のおかげで私と潤の仲はより深いものになれたんだから。あれから彼、すごく優しくなったのよ」

彼女は何が言いたいんだろうか。
潤さんとの関係が元に戻ったということだろうか?
私が知らないところで二人は会っていた…?

そんなことあるはずがない。
彼がどれだけ私のために時間を割いてくれていたか。自分の時間も作らず一緒にいてくれたか。それは私自身が誰よりもわかっている。それに彼女はまさか私が彼と同居しているなんて夢にも思っていないのだろう。
だからこうやって私に揺さぶりをかけているのだ。


私は彼を信じる。


「お話はそれだけでしょうか? それならば私はこれで失礼します」

静かに立ち上がって一礼すると、扉の方へと歩き出した。

「あなたにお礼をしなければと思って」

「お礼…?」

意味がわからず振り返ると、薫は言葉に出来ないような笑みを浮かべていた。
それを見た瞬間、わけもなく背中に震えが走った。

「えぇ。私たちの仲を取り持ってくれたのがあなたなんだから、今度は私がお返ししなきゃ」

「…一体何を言ってるんですか?」

その時ガチャリと音がして入り口の扉が開いた。ゆったりとした動作で一人の人物が入ってくる。
その人物を認識した瞬間、全ての時間が止まった。





「やぁ、美羽ちゃん」





世界が一瞬にして暗転した。
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