愛を知る小鳥
「はぁはぁはぁ…!」

いない…いない…どこにもいない!
会場に戻った潤は必死で美羽の姿を探す。
だが元いた場所はおろか、会場中を探してもどこにも見当たらない。

「御堂!」

「専務、どうされたんですか? …あら、美羽ちゃんは? ___まさか」

尋常ではない潤の様子に、あかねの顔色が一瞬で変わる。

「どこにもいないんだ。仕事で席を外した少しの隙にいなくなった」

「そんな!」

「嫌な予感がする。俺は彼女を探しに行く。御堂も何かわかったらすぐに連絡をくれ」

「わかりました。私も探します!」

あかねをその場に置いて再び駆け出す。ドクンドクンと心臓があり得ないほど早鐘を打っている。
彼女は今どこにいる?! 何故いなくなった? 彼女が考えなしにこの場を離れるとは考えられない。さっきから胸騒ぎがおさまらない。
頼む、無事でいてくれ…!!



「 潤 」



突然かけられた声に弾かれたように振り返る。だがそこに期待した人物の姿はなかった。

「…薫。お前どうしてここに?」

「おじさんにお願いして参加させてもらったのよ。さっき話がなかった?」

「どういうことだ?」

カツカツと音をたてて近づいてきた薫は、すぐ隣まで来ると腕に手を絡めてきた。

「叔父さんと話したんでしょう? 会って欲しい女性がいるって言われなかった? あれ私の事よ」

「…何?」

真っ赤な唇を歪ませてうふふと笑う。

「だってこうでもしないと潤ったら全然会ってくれないんだもの。あの時は本当に悪かったって反省してるわ。だからまた…」

最後まで聞くことなく掴まれた腕を乱暴に振りほどくと、驚いた様子の薫に吐き捨てるように言う。

「ふざけるな。一切会うつもりはないと言ったはずだ。…君がまさかこういう手を使うとはね」

それだけ言うと再び駆け出す。
が、次に放たれた一言で金縛りにあったように動きが止まった。

「あの子だって今頃いい思いしてるわよ!」
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